28Jan
働き改革の一環として副業・兼業が解禁されています。
厚生労働省は2018年より「モデル就業規則」を改訂し、働き改革の一環として原則的に副業OKとなりました。
更に、大手企業が副業を解禁したことで、国内企業における副業解禁について検討やテストが急速に進んでいます。
企業側としては副業をすることで、長期労働を助長するのではないか、貴重な人材が流出してしまうのではないかという懸念があります。
しかし、人手不足や終身雇用制度に対する考え方の見直しなど企業側の課題や不安材料があるため、副業について関心を持つ労働者はさらに増えていっています。
目次
副業解禁によるメリット・デメリット
【働く人】
メリット
・キャリアの形成に活かせる
副業として本業とは別に仕事を行うことで、自分の専門性を活かした仕事ができるようになり、将来の自分のキャリアに役に立つ知識やスキルが身につきます。
・新しいことに挑戦できる
本業とは別にやりたいことを副業としてチャレンジすることができます。
・収入が増える
本業の収入とは別に副業の収入が入るので、全体の収入は上がり、金銭的に豊かになるので精神的にゆとりが持てます。
デメリット
・長時間労働
本業の勤務時間とは別に副業の勤務時間が増えるため、全体的な労働時間が長くなり、休息時間がその分減ってしまうことで肉体的にも精神的にも辛くなってしまえば、体調を崩しやすくなる。
・税金関係でのトラブル
収入源が増えることで、個人の財産や税金の関係が複雑になります。
いくつも収入源をもっている社員に対して、雇用保険や福利厚生などの適用をどこまでするのかなどトラブルの可能性が出てきます。
【企業】
メリット
・人材の育成につながる
一会社の社内教育で得られるスキルだけでなく、社員が複数の会社からスキルを得ることにより、多くの知識やノウハウを習得することができて、生産性が向上します。
・労働力不足を解消できる
人手不足で人員を確保できない会社では、副業を希望する労働者に合わせた勤務体系で雇うことで人員の確保に貢献でき、業務の効率化が図れます。また、他企業の人材を採用することで、新しいアイデアや技術などを獲得できる可能性もあります。
・働く人の資質が高まる
自分の意志で副業にもチャレンジしているので、やりがいを感じ責任を持って行動できるようになります。
デメリット
・機密情報の流出のリスクがある
副業で別の企業と関わることになれば、重要な情報を取り扱うこともあるでしょう。
競合他社に無償で渡してしまうことにもなりかねないので、働く前に秘密保持契約などを結んでおく必要があります。
・副業先で事故にあった時に不利になる場合もある
もし事故にあった場合に労災の認定が本業と副業のどちらにあるのか、原因を突き止めなければいけません。
トラブルになる前に労使関係の規定は事前に整備しておき、企業側も働く側も不利にならないようなルールが必要です。
副業を解禁している企業の働き方
1. ソフトバンク
2017年11月からすでに導入されています。
・スーパーフレックスタイム制
フレックスタイム制のコアタイムを廃止したことで、業務内容に応じて始業時間と就業時間を日単位で変更できるようになっています。
・在宅勤務の推進
・全社員に自己成長のための資金として毎月1万円の支援金(2年間限定)
2. ディー・エヌ・エー
2017年の「フルスイング」という社員の自己実現を叶えるための人事プロジェクトの一環で副業制度の運用をスタートしています。
・副業三原則
副業する際には本業と副業のバランスを守り、定期的にアンケートを実施している。
① 本業に支障を出さない
② 会社に迷惑を掛けない
③ 健康管理時間を厳守する
・健康的な働き方を重視する
副業導入研修を実施して、産業医との連携も行い健康的に働けるように配慮している。
3. パナソニック
2018年より新しい働き方制度を創設しています。
・社外留職
社員が一定期間、他社に籍を移し、同社では経験できないような仕事を通じて、新たなスキルを身に付けてもらうねらいがあります。
・社内複業
所属している部署に籍を置きながら、一定期間、同時に別の部署にも所属して仕事をするものです。他部署にも所属することで、今までどのようなサポートを受けていたかを知り、相手の仕事内容を理解して、その後の仕事に良い影響を及ぼすための取り組みです。
4. セガサミー
2018年より一部のグループ企業において解禁しています。
・副業制度「JOB+」
社員の能力の向上や自己実現によって、グループ企業価値の向上や新たなイノベーションの創出をもたらすことをねらいとしています。
勤続3年以上の正社員が対象で、希望者には業務時間外・休日に副業が可能です。
・フレックスタイム制
必ず出社しなければならない時間帯のコアタイムに業務を集中させることによって、同僚と協働する時間にあて、自分や組織の生産性の向上が目的となっています。
・在宅勤務
移動時間の削減や雇用期間の拡充のため、特定のオフィスにこだわらない就業場所の設定をすべく、試験運用中です。
5. ユニ・チャーム
社員一人ひとりが仕事を通じて成長し働きがいを実感できる会社をめざし環境の整備と改善に取り組んでいます。
・副業制度
新たな専門性やスキルを身に付けて、能力を発揮する機会や人脈を広げる機会を得たりすることで、能力を高めて活躍の場を広げるといった社員のさらなる成長を支援する目的です。
正社員だけでなく、契約社員や60歳以上の再雇用社員が対象で、事前に届出書と誓約書を提出することで、就業時間外と休日のみ副業を可能としています。
6. カゴメ
2020年までに社員一人当たりの年間労働時間を17年比1割減の1800時間にする方針があり時間を有効に活用してもらいたいというねらいがあります。
・副業容認制度
必要に応じて保健師と面談を受けてもらい健康を確保することが条件に明記されています。
正社員と契約社員が対象で、副業での勤務時間も月に最大で45時間と決まっています。
7. 日産自動車
2009年から副業を容認している数少ない企業の一つです。
・副業を容認
正社員を対象に休業日に8時間以内を認めています。景気悪化で正社員の賃金カットが広がってきている中で解禁したものです。
8. リクルートグループ
社員の能力開発力が抜群に高く、これまでに多くの起業家を輩出している実績があります。
・ZIP WORK
フルタイムで働くのは難しい時間的制約のある優秀な人材を、専門職として短時間でも勤務できるようにした「ZIP WORK」という働き方を取り入れています。
別の場所で仕事をしながらもリクルートの仕事をしている人もいます。
・副業申請
申請をすれば副業は全く問題なくできますし、副業で本業より稼いでいる人もいるようです。
9.カブドットコム証券
社員の多様な働き方を認め、優秀な技術者の確保につなげるねらいで、「働き方アクションプラン」を掲げています。
・柔軟な働き方
副業を試験的に導入して、社員のスキルアップや時間の使い方に対する意識の向上、柔軟な働き方の推進を図ります。
また、全社員にモバイル端末を配布することで、ペーパーレス化や場所にとらわれない働き方を行うことができます。
・長時間労働の是正
深夜残業の原則禁止、ノー残業デーなどにより業務の効率化を図っています。
・年休の取得率70%を推進
10.コノカミノルタ
ダイバーシティ(働き方の多様性)の推進を行い、個の多様性を非常に重視しており、働きながら起業したい社員やさまざまな技術やスキルを社外で高めたい社員のニーズに答えながらも、社外での活動から得た技術やスキルを生かして、社内での新しい価値作りに貢献してもらうことを目的としています。
11.ヤフー
社会課題を解決する働き方を推進しており、誰もが活躍できる社会を実現させるための働き方改革を行っています。
・自由な働き方
フレックスタイム制をはじめ、時間も場所を選ばずどこでも仕事ができる制度があります。
・副業の許可
事前の申請をすることで、社内だけでなく社外でもさまざまなスキルや経験を積むことで「才能と情熱を解き放つ」ことを目指しており、多様な働き方を推進させるために副業を取り入れています。
・黒帯制度
専門性に優れたエキスパートの人材を「黒帯」に任命して、その活動を手厚く支援します。社内外へ専門技能発展に貢献する活動や、社外への情報発信をするなど幅広い活躍を支援する制度があります。
・発明報奨金制度
世の中の問題解決を見つけて、社員が解決するためのアイデアを積極的に生み出していくことで、モチベーションにつなげていく目的があります。
特許出願したアイデアを出した社員に対し報奨金の支給も行っています。
12.メルカリ
より快適にクリエイティブな仕事ができるようにさまざまな制度が取り入れられています。
・フレックスタイム制
12時から16時はコアタイムとして、勤務しなければいけない時間を設けながらもフレックスタイム制を導入しています。
・手厚い休暇制度
シックリーブ休暇では本人が病気やけがを事由とした休暇を有給休暇とは別に年に10日間受けられます。 リラックス休暇は3日間も取得可能です。産休・育休・介護休業や育児・介護休暇なども充実していて、婚活サポートなど費用を負担してくれるものもあります。
・副業の推進
書籍の執筆、イベントの登壇、エンジェル出資、社外役員、コンサルティングなど個人の副業を推進しています。
・最適なデバイスの貸与
エンジニア職の方は最新のMac OS端末をご希望のスペックでエンジニア職以外の方にはPCをハイスペックな構成で貸与します。最新のスマートフォンやタブレットを必要に応じて貸与することも可能です。
13.リコー
・社内副業制度
20~30代前半の従業員が対象で、1週間のうちの特定の時間を希望する部署で勤務できる体制を整えている。チャレンジ精神を育成することで若手・若年層の人材育成につなげるねらい。
14.ロート製薬
常識の枠を超えてチャレンジすることができる仕組みを社員のプロジェクトで出たアイデアから採用したものです。
勤続3年以上の正社員が対象で、事前の申請が必要です。
・社外チャレンジワーク制度
社会へ貢献し自分を磨くための働き方できるような制度。土日祝・終業後に収入を伴った仕事に就業することを認めています。
・社内ダブルジョブ制度
一つの部署にとどまらず、複数の部門・部署を担当できる制度。どちらも社員からの自発的な立候補により審査されます。
15.アサヒビール
2018年より副業の容認をしています。
・満60才の定年退職後に再雇用されたシニアスタッフに関しては副業を容認しています。
・副業支援休暇 勤続5年以上の社員が対象。月2日を上限に無休の副業休暇を1日単位で取得できます。
社員が持つ専門知識や能力を副業に生かし、自信のキャリア形成に役立ててもらうねらいがあります。
16.佐川急便
多様な人材を確保するためにいろいろな働き方を用意しています。
・変形労働時間制
セールスドライバーの正社員採用で、週休3日制を選べる制度を一部エリアで試験的に導入しました。週休2日制より1日当たりの勤務時間は延びるが、給与などの待遇は同等になっています。休日を利用した副業を認めています。
17.エイチ・アイ・エス
社員一人一人の更なる成長と活き活きと働くことができ、ライフスタイルの多様性に対応した「楽しい職場づくり」の実現に向けた働き方を導入しています。
・副業の解禁
業務委託による個人事業主としての労働を認めています。申請書と契約書を提出することで、長時間労働となり本業に支障をきたすことのないよう許可制になっています。
・フレックスタイム勤務の勤務拡大
フルタイムの社員だけでなく、短時間勤務で働く社員へも拡大してフレックスタイムを導入しています。生産性を上げながらも短時間からフルタイムへ復帰しやすい環境を整えています。
・在宅勤務
一部の部署では子育てや介護との両立を目指して在宅勤務を導入しています。
・再雇用制度
優秀な人材の確保を目指して在職中に一定の成果を収めた社員については再雇用を実施しています。
18.新生銀行
金融業界で初めて副業解禁を行っています。女性の活躍推進や多様な働き方を推進することで、社員それぞれの志向、特性を生かして能力を発揮できる人事制度の構築整備に取り組んでいます。
・副業・兼業の解禁
個人で事業を営んだり、業務を委託する個人事業主型、他社雇用型についても、所定の条件を満たせば認められるというものです。
・ライフサポート休職制度
既存の休業制度ではカバーできない事由であっても、勤続3年以上の写真を対象に同行が認めた理由が認定されれば、6カ月から3年までの期間で取得できます。
・セルフ時差勤務制度
希望日の前日までに申請すれば、勤務時間の調整をすることができる制度です。
・在宅勤務や早帰りの奨励
19.パルコ
・副業規則を原則容認
パルコでの残業時間が月30時間以下の社員で、入社3年目以上の正社員と契約社員が対象で、コンビニ店員とタクシー運転手は認めない方針となっています。
会社への申請が必要で、強み・才能を伸ばせる分野を推奨して、知識やスキルなどの専門性や自己成長を見込める経験を望み、本業に役に立てるものを得る目的です。
20.丸紅
「既存の枠組みを超える」ねらいで、新しい人事制度の一環として新たな働き方の創出を図るための取り組みです。
・15%ルール
全社員を対象に勤務時間のうち15%の時間を通常業務から離れて使い、新しい事業の考案などを行う「社内副業」に取り組む時間にあてることとしています。
・社外人材交流プログラム
社外とのネットワークを強化するだけでなく、自社を外からの視点で見ることで新たな事業展開に結び付けられる人材育成がねらいです。
まとめ
働き方改革の一環として副業を許可する企業が増えてきました。 自分のモチベーション高めて収入を増やすために、副業を通じて新しい働き方をしていくことも良いと思います。 職業規約を確認したうえで、会社が認めてくれるものなのか、副業のメリット・デメリットを理解したうえで、本業に支障のないような環境を整えていきましょう。